| ちょっと論点を整理してみますと、おそろいのTシャツが出回っていたくらいだから、動員費で金も配られた可能性があるという話だったと思います。 しかし、あらためて1986年の2月のピープルズパワーの経緯を見てみますと。前年にベニグノアキノが空港で射殺されて、マルコス批判が高まり、マルコスは87年に予定されていた大統領選を前倒しして勝負に出た。開票にあたって明白な不正があきらかになり、対立候補だったコラソンアキノは100万人を集めて勝利宣言などをやる。そのときにはすでにおそろいのTシャツも配られていただろうし、中には動員費をもらって参加した人もいたかもしれない。 しかし、ピープルズパワーのハイライトはそういうところではなかった。大きく動いたのはマルコス政権側だった、エンリレ国防相、ラモス参謀次長などが反乱軍とともにEDSAに面した国防省の建物のあるアギナルド基地に立てこもった時点からだった。それを制圧するべくマルコス政権側は戦車などをおしたてて、そこに向かった。それに対し、素手の何万という市民がEDSA通りで阻止したという点にあるのだと思います。 その意味では殺されることもあるかもしれないと思いつつ、素手で軍隊の前に立ちはだかった市民が金なんかで動いたはずがないということです。金をもらっても殺されてしまえばなんにもならないじゃないですか。そういう行動に金なんかで立ち上がるはずもない。 だからピープルズパワーが金で動かされた人たちでなりたっていたなんていうのはデマであり、誹謗中傷のたぐいだと言うのです。
うさ
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