| 【シンガポール=菊池友美】マレーシアのナジブ首相は15日、緊急記者会見を開き、南シナ海上空で消息を絶ったマレーシア航空機は「何者かが機内の通信装置を意図的に止めた可能性が高い」と発表した。同機は消息を絶った後に航路を西に変え、少なくとも6時間半以上飛行を続けたことも判明。ハイジャックなど犯罪行為が起きた可能性が強まった。ナジブ首相は「乗員・乗客の捜査を強める」と話した。
同機が8日午前1時すぎに消息を絶ってから一週間が過ぎたが、15日夜も機体の行方は判明していない。当局はテロなどの犯罪、整備不良や操作ミスによる墜落の2つの原因を念頭に調べてきた。15日の首相会見で強まったのは犯罪との見方だ。
ナジブ首相が明らかにしたのは(1)何者かが意図的に通信装置を止めた(2)消息を絶った後に西に航路を変えた(3)8日午前8時11分に衛星が機体を捉えた――の3点。何者かが追跡を防ぐための工作した疑いがある。
ナジブ首相は「(クアラルンプール発北京行きの)同機が航路を外れて西に向かったことを確認した」と明言したが、衛星が機体を最後に確認した場所は絞り込めていない。(1)タイ北部からカザフスタン、中央アジア南西部のトルクメニスタンの国境(2)インドネシアからインド洋南部のどちらかの可能性を指摘した。
想定される一つは乗客が操縦室に入り込み、航路を無理やり西に向けたハイジャック。ハイジャック犯自身が操縦したか、機長らに航路変更を強要した可能性がある。
国際刑事警察機構(ICPO)は盗難旅券を使って搭乗した2人の旅客はテロ組織との関係は薄いとの見解を示す。だが、同国政府は搭乗していた239人全ての身元を再調査し、テロや犯罪組織との関係を洗い出す考え。関係各国に情報提供を要請した。
もう一つ想定されるのは乗員が意図的に機体の行方をくらました可能性だ。マレーシア当局が機長らの家宅捜索に踏み切ったとの情報もある。
いずれの場合でも、通信を切断し、管制などの捕捉を逃れて飛行を続けたことから、飛行機の操縦に精通した人物が関与していたとみられる。乗員・乗客の犯罪歴や職歴などの精査が捜査進展のカギを握りそうだ。
マレーシア当局は、行方不明の機体の捜索も続ける。機体が西に向かったとの情報に基づき、これまで重点的に調べてきた南シナ海を捜索対象から外した。捜索範囲は中央アジアまで広がり、機体を見つけるまでは時間がかかりそうだ。
大韓航空機の撃墜事件のときも、飛行経路がなかなか明らかにされなかった。 各国の軍事レーダや超大国のレーダ網でつかみ切れていなかったのだろうか。 どこの国も知っていても真実を発表しないのかも。 軍事機密だもんな、レーダの性能って。
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