| STAP細胞論文騒動について(2014.3.15)
小保方晴子理化学研究所ユニットリーダーは1月末に、STAP細胞(新型万能細胞)を作製する方法を世界で初めて確立したと発表した。ところが、一月半後の現在、ネイチャー誌(世界で一番権威のある英国学術雑誌)掲載論文を撤回しなければならいような事態になっている。また小保方氏が3年前に取得した博士論文でも、他論文の大量の丸写し、いわゆるコピペ(Copy and Paste、複写して貼付けるというコンピュータ用語)があったようである。
指摘されている疑問点は次のようである。
@他の人に再現実験ができない
Aある画像が別の実験の画像と似ている
B実験画像の中に加工したような不自然な線が見える
C細胞の写真の1枚に不自然なゆがみがある
D実験方法を説明する文章で、ドイツの研究者の論文とほぼ同一の記述がある
E博士論文の画像が転用されている疑いがある
F論文の実験手法が実際の手順と違う
G博士論文は目次などを除き108ページからなっているが、第1章の約20ページが他に公開されている文書の記述とほとんど同じである
理化学研究所は3月14日に会見して、調査委員会の中間報告を公表し、上記の疑問点について 、次のような見解を表明した。
@について
検証を外部の研究者にゆだねる。
Aについて
不要な画像の削除忘れで、不正ではない。
Bについて
別な画像の切り貼りで、妥当な加工かどうかさらに調べる。
Cについて
編集過程でゆがみが生じた可能性があり、不正ではない。
Dについて
他の論文のコピーだった。出典があいまいで、さらに調べる。
Eについて
博士論文と同じであると判断する。さらに調べる。
Fについて
著者間の連絡ミスで間違った可能性がある。さらに調べる。
ノーベル賞受賞者の野依良治理化学研究所理事長は会見で、“未熟な研究者が膨大なデータを集め、取り扱いが極めてずさんだった。責任感が乏しかった。研究者間の連携にも不備があった”と語った。
さて、多くの疑問点の中でも論文の根幹に関わるEが認定されているので、新しい研究成果として、STAP細胞を作製する方法を世界で初めて確立したということにはならない。小保方氏は、写真を取り違えた、正しい写真 が存在していると言っているそうである。本当だろうか。一番肝心な写真を取り違えることがあり得るはずがない。仮に百歩譲って、そうだったとしても、論文になってから、本人も気付かずに他人に何回もその写真で説明できるようなことは、絶対にあり得ないと思う。
また小保方氏は、疑問点Gの博士論文コピペについては、昨14日朝にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)宛てに電子メールを送り、「現在、マスコミに流れている博士論文は審査に合格したものではなく下書き段階の物が製本され残ってしまっている」と説明したそうである。ところが早稲田大学の広報担当者は別版の博士論文については知らないと述べたとされている。このようことは日本のマスコミはほとんど報じていないが、さらに本3月15日の日刊スポーツ紙によると、小保方氏が博士論文を取り下げる意向を早稲田大学に伝えているとのことである。こうしたことが事実だとすると、小保方氏の説明は支離滅裂で、パニックに陥っているようである。
なお、STAP細胞の作製と博士論文のコピペは別問題で、混同して論じてはならないという指摘がある。確かに表面的にはそうである。しかし、小保方氏を考えるに際しては、両者に共通した研究者としての倫理の欠如があり、決して別問題ではない。
専門が違うので、軽々に言うべきではないが、論文を書いたり、審査したりした経験に基づく常識から、以上のような経過を判断すると、STAP細胞作製する方法を世界で初めて確立したとした論文は、信じたいが、限りなく黒(捏造)だと思う。リケジョの評価を落とした罪は計りしれない。本来なら、小保方氏が先ず表に出て、積極的に疑問点に答えるべきであった。それができない“未熟な研究者”なのであろうか。失礼だが、すぐバレるような弁明をする小保方氏は 虚言壁を持つ病人ではないのかとさえ思う。
もっとも今回は小保方氏だけに責任があるのではない。これだけ世界を揺るがすほどの研究の共著者が、肝心の写真が過去の博士論文の写真と同じであることに、誰も気付いていないのは、とても信じがたい。“研究者間の連携にも不備があった”だけでは済まされない。さらに理化学研究所は勿論のこと、関係大学のそれぞれが責任逃れだけに終始していることこそが、こんな事態を生んでいるのである。大反省しなければならない。
ところで、文藝評論家の山崎行太郎氏は自身のブログで、“小保方さんが、時代の寵児になることを認めたくない勢力がいるということだ。日本も科学的分野でさえ、何かが変わろうとしている。共同研究者で、小保方さんの恩師でもあるハーバード大学教授チャールズ・バカンティが、「今のところ、取り下げる必要はない」と言っているにもかかわらずに、である。「小保方さん潰し」を狙った、何か奇怪なものが蠢いているように思われる”として、連日論陣を張っている。
この人は鋭い説得力のあることも言うが、今回の小保方バッシング論はいただけない。共著者のハーバード大学教授チャールズ・バカンティ氏も、いずれ論文取り下げに同意するであろう。 長先生のHPより
小保方さん、ピンチやな。
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