| 2005/09/23(Fri) 02:38:03 編集(投稿者)
セブの光と陰(移住当初の手記をもとに)パート1
我々日本人は、一度や二度、アヤラの近くにある「日本領事館」に行かなければならない。領事館が入っているビルディングはケッペルビルディンと言う。高層ビルだ。恐らく比国の技術者ではなく他国の技術者が指揮して建てたものと思わせるようなつくりだ。そう感じただけだ。このビルは南国の強い日差しを、壁面の大理石や青い窓ガラスに反射させて建っている。このビルディングだけ見てると、比国に建っている建物であることを忘れさせる。 内部に入る。内部は大理石で施行され高級感が漂っており、セキュリティーチェックが常時座っていて入場者のチェックに余念が無い。エレベーターを利用し7回にある領事部の部屋に行く。部屋はエアコンが強く利いていて寒い位だ。街中の喧噪はこの部屋までには届かない。静かだ。このビルに出入りする多くの人達を観察していると、身なりはきちんとしており、やや足早に歩いているような気がする。 さて、このビルのすぐ脇にある、F・カバホグ通りに視点を移動させてみよう。そこには、このケッペルビルディングとは無関係のように、掘っ建てに近い店や住宅が、すぐ間際までひしめくように、へばりつくように並んで建っている。子供達が全裸あるいは半裸で駆け回っている。カゲロンと言われる皮膚病のある犬も一緒に走り回っている。 良〜く見ると、店先の日陰の部分に置いてある壊れかけた竹製の椅子に、その店の住人であろう男が、腹の突き出た上半身を裸にして所在なげに座って人通りを眺めている。 肩にはタオルが掛かっている。私だけの印象だろうが目はうつろに見える。何を考えているのか皆目分からない・・・。 移住当時の私にはこのビルが比国の光の部分であり、出入りする人も光の部分。すぐ脇に建っている掘っ建て店や住宅、腹の突き出た上半身裸の男や駆け回る子供達が陰の部分・・・と感じていた。しかし、1年以上滞在してみると考えが変わってきていることに気づいている。 (続く)
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