| 光と陰パート3
目もくらむような南国の太陽。海洋性気候特有の海風が椰子の木をなでていく。どこまでも透き通った青い空と海。セブをちょっと離れると信じられないような透明な海がどこまでも続いている。 ここは南国の楽園。どこからともなくラップの曲が聞こえてくる。現地の人々は人なつっこい瞳と笑顔を向けてくる。特に日本人だと分かると更に寄ってきて、日本語でI love youってなんて言うの?とか、How are youはなんて言うの、とか突っ込んで聞いてくる。教えてあげるがどこで使うんだろうか? とある浜辺の椰子の木陰でトロピカルジュースなんか飲んでれば、極楽極楽。早めに退職して良かった、と実感する。セブ市から北の方角に向かうと、色々な浜辺のキャンプ場がある。どこも屋根付きの休憩所を設けた庶民の憩いのビーチであり、つかの間の休日を利用してやってくる。どこでも大体1日100Pで借りられる。食材は本当に安く、人々は思い思いにかまどを作りバーベキュウを楽しむ。
毎日やってる食事作りと変わらないから、あっという間に料理が出来上がる。それでも、家庭によっては前日に料理したものも持ってくることもある。この間など、小さなマグロ?に似た大きな?魚をいぶして食べたらとても美味かった。ビールが格別に美味い。ここは南国、光の部分! ちょっと視線をずらすと・・・。そう、ゴミの山である。もちろん、キャンプ場を営むオーナーの作業員が掃除はするのだが、長年たまってしまった、いわゆるこちらの人の言うプラスチック(ビニール)や、瓶の栓等、至る所に散らばっている。さすが生ゴミはキャンプ場をうろつく犬や猫が処理するからか、ほとんど無い。 スクワッターではほとんどが排水路など無い。家庭用排水等全て垂れ流しだ。問題は 無機質であるところの洗剤や人工の化学変化で作られた塩化ビニール等だ。これらは腐らないのである。さらには、割れた硝子、壊れたおもちゃ、古いゴムタイヤ等、かなりの量が地面に捨てられているのを目にする。とにかく、色々な場所に多くのゴミがうず高く積み上げられ、そのままに放置されている。妻に聞いたことがある。これらのゴミは誰がどうするのと聞いたら「知らない!」ゴミ回収車は時々見かけるのだが・・。 糞尿の大半は、穴を掘った浸透式だ。地下水なんて恐ろしい事になってるのかな?いつも30度前後の気温であるから、生ものは何でも腐る。その腐食速度は速い。水気のある場所等を通るとメタンガスの臭いがする。それも至る所で。低い土地にあるスクワッター等は、雨が降った後など、家の周りではメタンガスの大合唱だ。
そして、道路には犬の糞が至る所に転がっている。人々は気にしないし、気にもかけない。それは蠅に対する意識も同じだ。食事してるときも情け容赦なく蠅が寄ってくるが、ただ「振り払う」仕草をするだけだ 。ちょっと食べ物から目を離しただけで、何匹かの蠅が食物にたかる。それでも人々は気にしない。衛生観念の欠如、はたまた、衛生的な生活を知らない、教えられていない。若いPnaだって平気で道路に唾を吐く。我が店でも、コーラを買いに来た客に、ビンは持ち帰れないので、ビニールの袋に入れて売る。また、アイスウォーターと言って、ビニールに入れた水を凍らせて売っている。それらのビニールの袋も捨て放題。この間見てしまった。若いPnaが食べたバナナの皮を平気で道路にポイ捨てしてた。
私は、当初は驚いて口をあんぐりさせるだけだったが、現在はなんか徐々に慣れてきている。慣れとは恐ろしいものだ。また、我が息子の注射の数は既に5本を超えている。まだ、2ヶ月も経ってないのに。やはり、多くの病気があるので、そう言う数になるのだろう。日本では1〜2本かな。そんな中で、私は蠅だけは絶対に許せない。必死になって孤軍奮闘している。 これだけの自然に恵まれながら、そこに住む人々は比国のどこに行っても大概同じようである。時たま住民達が道路を清掃しているのを見ると、何故かほっとする。ただ、ある特定の地域は、ここが比国か、と疑うばかりの綺麗な市や町が有るという。やはり、行政等が力を入れているのだろうが、国を挙げて衛生観念の教育及び意識を高める努力をしなければ、この国は変わることはできないんだろう。
愛知地球博にも比国は参加したようだ。どれだけ参加した事の内容を持ち帰られるか、なんて考えても無駄なんだろうなぁ・・・。比国の幾つもある陰の部分の、この問題は地球を汚していることがはっきりしてるのだから、もっと開発途上国への支援も必要ではないのか、先進国の二酸化炭素問題で手一杯なんだろうか、と常々思うのである。
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